経営理念とビジョンと戦略と計画 何が違う?【論点掘り下げ】
理念とビジョンと戦略
中小企業診断士を目指して勉強を続けられている皆さん。いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。
中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。
今回は、試験対策の勉強をする中で、位置付けの理解が混乱してしまいやすい、「経営理念」と「経営ビジョン」と「経営戦略」の意味と違いについて、お話したいと思います。
経営戦略論の肝
最初に勉強する「経営戦略論」
先日の記事でも触れましたが、中小企業診断士の試験勉強を始める場合は、とりあえず、一次試験科目の企業経営理論から着手することがお薦めなのですが、企業経営理論は、さらにその内容が
- 経営戦略論
- 経営組織論
- マーケティング論
に大別されます。(ほとんどのテキストで、上で記したとおりの順番になっているかと思います。)
この中で、やはり最初に手をつけるべきは、経営戦略論になります。
一次試験で出題される内容の中でも、最も企業経営というものを大所高所から見る内容になりますので、まずは、企業経営の心構えの全体像を把握するという意味で、ここを押さえるべきです。
そして、経営戦略論の勉強を始めて一番最初に目にするのが、恐らく
- 経営理念
- 経営ビジョン
- 経営戦略
- 経営計画
が上から順に並んでいるピラミッドみたいな図になるかと思います。
これらは一体何でしょう?恐らく、どれも聞いたことはあるはずですが、何が違うのかわからないという感じではないでしょうか。
概念の階層構造
これら関係性は、ピラミッド図のとおり、上位→下位という関係になります。上位下位というのは、重要性という意味ではなく、まず上位概念があって、それを踏まえてその下の概念が決まっていくという関係性があるいうことです。(重要性で言えば、全て重要です。)
そして、まずは教科書的に書いてみると、
- 理念
- 企業の存在意義を示すもの
- ビジョン
- 理念の下で企業が目指す明確化されたゴール
- 戦略
- ビジョン達成するために、誰に向けて、何の付加価値を、どうやって競合よりもうまく提供していくかの道筋
- 計画
- 戦略を実現するにあたって、企業内の誰がいつ(までに)何を行うかを具体的に示すもの
ということなります。
これだけだと、
何やら戦略だけやたら気合い入れて表現しおったなコイツということ以外、特にイメージできないかと思いますし、私の経験上、自分や周囲の実例や妄想に置き換えて具体化してみると、理解が深まったので、ここでその一例をお示ししたいと思います。
楽器屋さんで例えると
例えば、私が、楽器屋さんを経営しているとします。(実は昔ギターをやってまして。ってどうでも良いですね😅)
ここで、大手の楽器屋やネット販売の楽器店と品揃えや価格の安さで勝負しても勝てないのはわかりきっています。というか、私が社会に対してできるだけ多くの楽器をできるだけ安く提供するということで貢献したいのなら、大手楽器店で働くべきなのです。
自分で小ぢんまりとした楽器店を開いたということは、そうしないとできないことがあるはずなのです。
そうです。私は、品揃えでは大手に勝てないけれど、特定のジャンルの音楽に親和性の高いギターやアンプやエフェクター(音色を変える機械)を充実させ、そのジャンルに特化したマニアックさでは大手をしのぐことによって、そのジャンルのファンやプレイヤーから
「やっぱり大手よりもなおちん楽器だよね。あそこにいけば趣味を同じくする仲間にも会えるし」
と思ってもらえるようなお店を、もっと言えばそういう「場」を、世の中に存在するマニアックなターゲット層に提供したくて楽器店をやっているのです。
(あくまでも妄想ですよ。私はしがない会社員です。)
さて、そんななおちん楽器の理念は何でしょう。
それは、【○○ジャンルファンの聖地とサロンになること】とかそんなんです。
では、ビジョンは。【県内の○○ファンからの人気ナンバーワンの店になる】とか、【売上高○億円】とかでしょうか。
では戦略はどうでしょう。【他社にない○○に特化した品揃えと豊富な知識、顧客同士の交流の場の提供により大手楽器店と差別化する】とかでしょうか。
そして経営計画は、【今年度の品揃えのライン数やアイテム数、売上目標、会員登録数】とかですね。
どうでしょうか。我ながら、そんな極端な楽器店なんてあるのか?という気もしてきましたが、それはともかく、理念、ビジョン、戦略、計画、の位置関係はイメージしていただけましたでしょうか。
会社勤めの方は、ご自身の会社の理念やビジョンを改めて確認してみるのも理解を深めるうえで面白いと思います。
ちなみに、この理念とかビジョンとかは、教科書的に区分して設けられていないケースや、ビジョンと言いながら上記でいうところの理念だったり、これらをミッションと表現していたりいろいろですので、これらの名称と区分を絶対的なものとして覚えてしまうと混乱しますが、イメージとして覚えておけば便利ですし、一次試験でも二次試験でも必要になる基礎知識ですので、最初の段階でしっかりイメージを持っておくことが得策です。
参考実例
ご参考に、有名企業の企業理念(的なもの)をいくつか挙げてみます。
地球上で最もお客様を大切にする企業であること
(なんか、ビジョンっぽくもありますね。)
誰もが情報を共有できるオープンでつながりのある世界を実現する
人々の心を豊で活力あるものにするために — ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから
お客様の一番のお気に入りの場所になることと食事をする方法となることである
まとめ
以上、今回は、位置付けの理解に苦しみやすい、理念、ビジョン、戦略、について、これらが階層構造になっており、それぞれが上位階層を実現するための手段としての役割を持っていることを、実例を混じえつつ説明させていただきました。この記事で、これらの概念について、少しでもイメージがクリアになったと思っていただければ幸いです。
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