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4月, 2021の投稿を表示しています

税効果会計とは何なのか?(財務会計、事例Ⅳ対策)

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税効果会計とは? 適正な税金費用❗ いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 財務会計 の試験対策においては、簿記の基本を押さえた後、次なる壁としていくつかの専門的論点が立ちはだかってきます。 今回は、そうした次なる難関となるもののうち、 税効果会計 について、説明していきたいと思います。 テキストを読んで、問題を解いてみて、何となく正解はできるようになってきたけど、すっきり肚落ちしていない、という状態の方も多い論点ではないかと思いますが、基本的な概念を押さえられれば、変則的な問題が出てきても恐れることはありません。少し長くなりますが、お付き合いいただければと思います。 (複式簿記の基本的な概念については、 【複式簿記の基本を理解しよう】 でわかりやすく解説していますので、是非ご参照ください。) 目次 税効果会計は何のためにあるのか? 財務会計と税務会計の差異 繰延税金資産とは? 繰延税金負債とは? まとめ 税効果会計は何のためにあるのか? いきなりですが、 税効果会計 というのは何なんでしょうか? 損益計算書 を見て、 「税引前当期純利益」 の下にある 「法人税等」 のさらに下にある 「法人税等調整額」 というのが、 税効果会計 の結果生まれてきた科目です。 さらに、 貸借対照表 を見てみると、固定資産の中に 「繰延税金資産」 とあるか、又は、固定負債の中に 「繰延税金負債」 というのがないでしょうか。それもまた、 税効果会計 の結果生まれてきた科目です。 そもそも、 損益計算書 は 企業の経営成績を写し出す資料 としての意義を持っており、 貸借対照表 は 企業の財政状態を写し出す資料 としての意義がありますよね。 そこで、それぞれに 税効果会計 による科目が含まれているということは、 法人税等調整額 を計上しなけれ

複式簿記の基本を理解しよう❗

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複式簿記とは? 鬼門❗複式簿記❗ いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 今回は、中小企業診断士試験の鬼門となるケースも多い 財務会計 の対策において、絶対に押さえておくべき 基本ポイント である 複式簿記 について、基本となる概念をわかりやすくご説明したいと思います。 一次試験における 財務会計 も、二次試験における 事例Ⅳ も、複式簿記の基本を理解できていないと、得点は安定しません。 何となく用語や解答の雰囲気は掴めてる気がするけれど、 ぶっちゃけ複式簿記って何よ? と真正面から聞かれると答えに詰まってしまう、という方は、是非、この機会に、基本概念を理解して、財務会計の得点を底上げしていただければと思います😃 目次 複式簿記の基本 5つの箱 2つの側面で記録する❗ 経営成績 財政状態 支出が費用になるか資産になるか まとめ 複式簿記の基本 人類史上最高の発明とも言われている 複式簿記 ❗ とても合理的で重要なようだけど、正直、仕事で会計に携わらない限りは、特に意識したりしっかり理解したりする機会のないジャンルですよね。 そして、中小企業診断士試験の勉強を始めることになって、 「とうとう、向き合う時が来たか…。」 という方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。 会計理論と言えば、 減価償却 、 経過勘定 、 引当金 、なぞという難解なワードが並んで、嫌になってしまうかも知れませんが、実は、これらの基本となる 複式簿記 のさらに基本となる核心的な本質は、極めてシンプルです。 左右対称❗ 以上です❗ 複式簿記では、あらゆる経済取引を、左側の 借方 と、右側の 貸方 に、それぞれ適切な科目をセットして、左右同額になるように記録します。これを 仕訳 といいます。

事例Ⅳの視点から❗日本郵政の特別損失について

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日本郵政の特別損失 投資と撤退❗ いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 さて、今回は、日本郵政が豪州の物流子会社の事業のうち、不採算の一部事業を売却するとの報道があったことを受けまして、 中小企業診断士 二次試験 事例Ⅳ 的な観点から、このニュースの意味を解説してみたいと思います。 目次 日本郵政の事業売却 なぜ売却する? 今回の特別損失とは? 事例Ⅳで出題されるとしたら? まとめ 日本郵政の事業売却 今回の題材は、日本郵政グループが、豪州の物流企業の一部を売却することとし、これに伴って 特別損失 が発生する、というニュースです。(詳細は、 日本郵政、豪トール事業売却 特損674億円、郵便社長「重く受け止める」(時事通信) をご参照ください。) まず、売却に至った経緯や理由を整理したうえで、財務上のインパクトを見ていきたいと思います。 なぜ売却する? 今回、日本郵政が売却することとしたのは、 トール·ホールディングス というオーストラリアの物流大手で、2015年に日本郵政が6,200億円で買収した企業です。 買収時は、日本国内の郵便事業が先細ることが見えている中で、海外事業に打って出るという趣旨の、 攻めのM&A だったわけですが、当時から、高値掴みという評判は出ていたようです。 想像するに、日本郵政としては、長く郵便事業を行ってきたノウハウを有する中、日本国内という縮小市場から、新たな市場へと事業を拡大する 新市場開拓戦略 を採用することとし、豪州での物流だけでなく、アジアを中心とした国際貨物や倉庫管理といった事業も保有するトール社を買収したのだと思います。自社の強みである郵便事業ノウハウを活用し、 シナジーや範囲の経済を効かせて生産性を向上 させ、成長する 海外市場の物流需要を取り込んで企業価値を高める

経営の安定性(事例Ⅰ対策)

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経営の安定性 所有と経営 いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 今回は、昨今のニューストピックスである、東芝の買収に関する議論を取り上げ、 あくまでも中小企業診断士試験対策の観点 から、論点を絞ってお話したいと思います。 目次 安定株主工作 物言う株主がいると… 上場廃止で得られるもの 中小企業診断士試験では❓ まとめ 安定株主工作 ここしばらく、東芝の買収に関するやりとりで経済ニュースが賑わっています。(ニュース記事: 【東芝 物言う株主へ防衛策「政治銘柄」買収に不透明感】(JIJI.COM) ) このニュースには、 国にとっての重要事業であることから外国投資家による出資には政府による規制がある 東芝の前社長(買収提案発表時は社長)が買収提案主体の出身であった などの様々な論点がありますが、今回、 中小企業診断士試験対策の観点 から取り上げたい論点は、「これは物言う株主からの防衛策である」との報道から見えてくる 物言う株主から逃れることの意味 です。 物言う株主がいると… 東芝は、不正会計事件後の経営危機の時代を、主に既存事業の売却や縮小を軸とするリストラによって乗り切りつつ、債務超過状態の解消のために投資ファンドからの多額の出資を受け入れました。 この結果、経営の立て直しと債務超過の解消はできたものの、いわゆる 「物言う株主」 が経営に大きな影響力を持つ状態ができあがりました。 では、物言う株主がいると、何がマズいのでしょうか。 中小企業診断士一次試験の 【経営法務】 の内容に含まれていますが、株式会社の株主は会社への出資者であり、株主総会において企業経営における重要な決定事項や取締役の選任や解任ができる権利を保有しています( 株主の共益権

事例Ⅰ攻略編❗中小企業はニッチ市場を狙え❗

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ニッチ市場という舞台 ニッチに生きろ❗ いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます😄 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 今回は、 なぜ中小企業はニッチ市場を狙うべきなのか というテーマについて、深掘りしてみたいと思います。 中小企業診断士試験においても、ニッチな市場で勝負することで競争力を維持している企業が出題されたりしていますよね。それだけ、中小企業にとっては有効な戦略的要素なわけです。 なぜ中小企業は巨大市場を狙わない方が良いのか、なぜ大企業はニッチ市場に来ないのか、といった疑問とも合わせて整理してみたいと思います😃 (他の論点掘り下げ記事は コチラ をご覧ください) 目次 ニッチな市場 なぜ中小企業はニッチな市場を狙うべきなのか? なぜ大企業はニッチ市場に来ないのか? 勝負できるニッチ市場の条件 中小企業診断士二次試験での取扱い まとめ ニッチな市場 ニッチな市場というのは、 市場全体の中で、他と区分することが可能な、特定のニーズや嗜好を持った市場セグメント のことです。そこでは、独特のマニアックなニーズや嗜好を持った顧客が存在し、顧客規模が相対的に小さいことが一般的です。 自動車業界で言うと、超高級スポーツカー市場を狙ったフェラーリはニッチ狙いの戦略が奏効した例と言えますね。他にも、二郎系ラーメンとか、地下アイドルとか、高級ストローの製造とか、コアなアンダーグラウンド音楽とか、いわゆる 幅広く一般受けしなさそう だけど一部の コアなファンからは絶大な支持 が得られるというような製品やサービスは、ニッチ市場狙いの戦略展開をしているということですね。 ちなみに、ほとんどの業界が、最初はニッチな業界として始まっています。 コンビニエンスストアは、スーパーが営業しない時間帯を狙ったニッチな事業として始まりましたし、Facebookなどの

事例Ⅱ攻略に向けて❗(ブランド論)

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ブランド論 勝つための「ブランド」❗ いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 今回は、 中小企業診断士二次試験の事例Ⅱ で頻出の論点である ブランド についての名著 「ブランド論」(デービッド·アーカー著) をご紹介したいと思います。 以前の記事 「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」(岩崎邦彦先生)【お薦め本紹介】 でもブランドに関する良書をご紹介しましたが、今回も主張されている本質は同じです😃 ただ、本書の特徴は、ブランドという切り口から企業経営上の様々な課題を捉えていることです。 全社戦略 、 事業戦略 、 組織戦略 といった要素が網羅されていて、中小企業診断士試験対策の観点からもかなりお薦めです❗ (他のお薦め本の紹介は コチラ をどうぞ❗) 目次 ブランドという戦略 ブランドは資産 ブランド価値の測定 ブランドビジョンを示せ❗ ブランドは組織で作る❗ ゲームチェンジャーであれ❗ まとめ ブランドという戦略 大企業でも中小企業でも、競争優位を獲得し維持していくために避けては通れないのが、 ブランド構築 です。 製品やサービスの機能や品質自体で完全なる差別化を実現して高い収益を得るためには、よほど決定的な技術やノウハウを保持していないといけません。 しかも、 おいそれと模倣されないもの として。 そのような技術やノウハウを保有できることは稀です。 ですので、多くの企業では、そのような形で優位性を確保できないことを前提に、どうやったら勝てるのかを考えるべきなのです。 そして、製品力やサービス品質だけでは優位を獲得できない企業が、競合を凌いでいくための最有力手段こそが、 ブランド構築 なのです。 以下、強力なブランドを構築するために何が必要なのかについて、本書で語られるエッセンスを要約してみます。 ブランドは資産

「シナジー」と「範囲の経済」と「規模の経済」の違い

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「規模の経済」と「範囲の経済」と「シナジー」の違い 強みの源泉 いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。 中小企業診断士試験の攻略法について、 【中小企業診断士試験の攻略法】 にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。 今回は、中小企業診断士試験対策において、一次試験の【企業経営理論】、二次試験の【事例Ⅰ】で頻出の論点である、 「規模の経済」 、 「範囲の経済」 、 「シナジー」 、について、その違いをご説明いたします。 これらは、企業経営における名著とされる書籍でもよく触れられているところで、例えば、 ジェイ·B·バーニー著「企業戦略論」(私の書籍紹介記事は コチラ ) などでも詳しく論じられているところです。 (それ以外の論点毎の掘り下げ記事については( コチラ )をご参照ください。) 目次 3つの概念 規模の経済 範囲の経済 シナジー まとめ 3つの概念 中小企業診断士の勉強をしている中で、一次試験の 【企業経営理論】 や、二次試験の主に 事例Ⅰ で、企業の競争優位のための戦略的要素として、 「規模の経済」 、 「範囲の経済」 、 「シナジー」 が出てきます。 どれも、 実現できたら競合に差をつけられる戦略上有効で望ましい状態 ということはすぐにわかるのですが、この3つの意味の棲み分けや使い分けとなると、微妙な部分が残ったりするかと思います。(何せ、私がそうでした💦) そこで、今回は、この3つの意味の違いをご説明し、皆さんに少しでもスッキリ感を持っていただければと思います。 規模の経済 まず、 規模の経済 ですが、これは、大量に生産することで固定費を分散し、1個当たりのコストが抑えられている状態です。 例えば、ある機械の減価償却費が100発生するとします。そして、この機械を使って10個の製品を生産する場合と、50個の製品を生産する場合を考えてみます。製品1個当たりの変動費は20とします。 減価償却費は固定的に