競争戦略について【論点掘り下げ】【お薦め本紹介】

競争戦略とは

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

本日は、試験対策上の論点を掘り下げてみるとともに、
それに関する書籍の紹介もしてみるという
そんな内容です。
先日の記事では、
企業理念ビジョン経営戦略
という、いわば企業経営の概念の中心的な考え方をご紹介したわけですが、今回は、それと並ぶくらいの主要論点である
【競争戦略】というものについて見ていきたいと思います。

楽しすぎてだいぶ長い記事になってしまってますが、参考になるところがあれば幸いです。

競争戦略

競争戦略とは、ズバリ、
企業が属する業界において
有利な地位を確保するための戦略

です。
「競争」というからには、相手を打ち負かすための方法論かと思いきや、必ずしも競合相手の打倒という「狭義の競争」にはこだわらない戦略論です。
(ちなみに、私は、中小企業診断士二次試験の勉強をする中で競争戦略の結果手に入る業界内での有利な地位を表す【競争優位】という言葉が病みつきになりまして、とにかく多用するようになりました。)

マイケルポーターの「競争戦略論」

さて、そんな超重要ポイントの競争戦略ですが、この理論の大家は、かの有名な
マイケル・ポーター 大先生です。
というか、ポーターが理論を構築したから競争戦略論という体系的概念が重要論点になってきたのではないか と思っています。
なので、本日お薦めしたい書籍として、
「競争戦略論Ⅰ」
「競争戦略論Ⅱ」
を挙げさせていただきます!
ここで、ポーター先生はいろいろ含蓄のある理論を滔々と語ってくれているのですが、まず、中小企業診断士試験対策上の重要ポイントをざっくりとまとめさせていただくと、

  • 5フォース
  • バリューチェーン
  • 3つの戦略

になるのではないか と思います。

5フォース

まず1つ目の「5フォース」ですが、企業がある業界で高い収益性を獲得できるかどうかは、その業界を取り巻く環境に多大な影響を受ける。
だから、どういう業界で勝負するか
が極めて重要な戦略的決定になる。
そして、業界の競争環境は、次の5つの視点で分析し把握すべき。

  1. 業界内の競合企業
  2. 新規参入の脅威
  3. 売り手(仕入先)の交渉力
  4. 買い手(販売先)の交渉力
  5. 代替品の脅威

という理論です。
これは、ホントに一次試験でよく出る論点です。
1.の業界内競合は、まあ、わかりますよね。
寡占状態だったら競争は緩やかですが、多数が乱立していれば競争は激しくなって、業界内の企業に旨味はなくなっていきます。
あと、一次試験でよく出るのが、
固定費が大きい場合ははたして競争が激しくなるか緩やかになるか という論点。
もっともらしく、一見論理が通っているように見せる文章で騙してきますが、固定費が大きいと、競争は激しくなります。
これは、固定費が大きい=限界費用が小さい
ということは、
価格競争をしてでもできるだけたくさん売ってサンクコストを回収しようとする という流れを理解すれば
大丈夫です!
2.の新規参入の脅威は、業界の参入障壁が低いと新たな参入者がバンバン飛び込んできかねず、潜在的な競争者が多数存在することになるため、気が休まらない ということですね。
ラーメン屋さんとか、参入障壁が低くて、業界内競合だけでなく、常に新規参入の脅威にさらされていますよね。
たまたまラーメン屋がない地域にラーメン店を出店して事業が軌道にのってきたとして、
「競争相手がいないから基本的に心配ないわー😎」
と思えるわけないよね、ってことです。
3.の売り手の交渉力は、原材料とか部品とか、場合によっては製品とか必要なサービスとかを仕入れる先が価格をはじめとする取引条件についてどれだけ強い交渉力を持っているか
という観点です。
仕入れるモノが希少性があってその仕入先以外に調達先がないような場合や、自社が仕入先にとって大口顧客でない場合などに売り手の交渉力は強くなります。
4.の買い手の交渉力は、自社の製品・サービスが希少でなく、競合相手が多く存在する場合や、自社にとって大口顧客で、相手との取引を失うと経営上の影響が大きい場合などに買い手の交渉力は強くなります。
5.は代替品です。
1〜4までで強力な地位を築いていたとしても、同等の、若しくはより優れた機能をもつ製品・サービスが他で存在すれば、そうした別の製品・サービスと、実質的に競合しなければなりません。
例えば、映画産業の企業は、同業者との間での競争だけでなく、You Tubeなどのメディアに顧客を奪われる脅威にさらされています。
もっと広く見てみれば、
「今日映画見に行こっかな〜。それとも○○にするかなー🤔」
という時の○○に入るものは全て競合相手となるわけです。
このように、5つの視点で業界の競争環境を分析し、
その分析結果を踏まえて参入するかどうかを判断したり、業界内で自社がどのようなポジションをとって競争を回避していくかを考える
というのが5フォースのポイントです。

バリューチェーン

次にバリューチェーンですが、
これは、顧客に製品・サービスという形で価値を提供するにあたり、その価値を作り出す過程は単一のジョブではなくて、
いくつもの活動が組み合わさっている
ということです。
例えば、車という製品を作るためには、原材料や部品の調達と在庫管理、生産活動、物流、販売活動などが関係していますし、研究開発や製品企画、マーケティングのほか、総務部門や経理部門の活動も全てが関係してはじめて顧客への価値の提供が行われていることになります。
こうしたいくつもの活動が組み合わさって価値を生んでいる
という概念がバリューチェーン、つまり、価値の連鎖です。
ここで、自社の価値の創造が、
どの活動によって他社への優位性を保っているのか、
どの活動でどれだけのコストが生じているのか

などを分析し、改善すべき活動やアウトソーシングする活動や、逆に絶対にアウトソーシングしてはいけないコアな活動が何かを検討し、事業戦略に活かしていく
という考え方です。

3つの競争戦略

企業経営理論で最重要ポイントの一つと言える競争戦略の3形態は、

  1. コストリーダーシップ戦略
  2. 差別化戦略
  3. 集中戦略

です。
1.のコストリーダーシップ戦略は、
他社よりも低コストで製品やサービスを生み出すことにより、他社と同価格で販売すれば他社より利益を獲得できるし、他社が価格競争を仕掛けてきても勝てるという優位性確保の戦略です。
大量生産による規模の経済や、
他社に対する生産技術の優位性
立地や部品の調達ルートの優位性などによって
低コストを獲得できます。
これは基本は大企業の採る戦略で、中小企業診断士試験では、一次試験では知識として出てきますが、二次試験で
「コストリーダーシップ戦略を採りましょう」
なんていう提案(回答)はまぁありません。
2.の差別化戦略は、
品質やイメージやブランド力によって、価格以外の要素で他社と差別化redbr>独自の地位を確保することで、言ってみれば、競争を回避する戦略です。
安売りはせず、他社が模倣できない自社のこだわりや尖りを追求して、
誰からも真似されず、
高価格帯でもそこに価値を認めてくれる顧客に選ばれる
事業になることが理想です。
ポーター先生も、競争は基本的には差別化で対応すべき
と考えておられるようです。
個人的には、この
「競争戦略の真髄とは競争しないことである」
的な概念がすごく興味深いところです。
3.の集中戦略は、
さらに、
差別化集中戦略

コスト集中戦略
に分かれるとする整理もあります。
市場全体を狙うのではなく、特定の顧客層の心をガッチリ捉える、ニッチな範囲に特化した独自性によって、その比較的小さな市場において、差別化 又は コスト面で優位性を確保する
という戦略です。
中小企業診断士二次試験の事例問題において採用すべき戦略は、
まず間違いなく
差別化集中戦略
です。
限られた経営資源の中小企業が、幅広い層に対して低価格でそれなりの品質や品揃えで訴求してくる大手企業に対抗するには、大手にはない
地域密着性
社長のこだわり
丁寧な接客対応
などによって差別化し、
ターゲットを絞ってそこに経営資源を集中させることで
競争優位を獲得する
というのが、二次試験対策の定石です。

それ以外の論点

ここからは、中小企業診断士試験ではあまり出題されない論点になりますが、マイケルポーター先生が主張しておられる論点の中で興味深かったものを一つ紹介したいと思います。
それは、
産業クラスター
です。
ある地域に、特定の産業の企業が集中することにより、そこで切磋琢磨する状況が生まれ、当該産業において必要とされる技術を持った人材が集まり、部品や原料やサービスを提供する関連産業も充実し、さらに当該業界に関する要求水準の高い顧客が存在することで、他の地域にはない技術やノウハウの発展が見られ、地域全体として競争力が高まっていく
という考え方です。
イメージとしては、
シリコンバレー
なんかを思い浮かべていただけると理解が早まると思います。
政府や地方自治体は、こうした産業クラスターの形成による優位性を戦略的に生み出すために、競争を阻害する規制はできる限り撤廃して、インフラを整備してより多くの同業者の参入を促す政策を採るべきだという主張です。
令和2年の二次試験事例Ⅰなんかも、酒造事業のクラスターとして捉えてみても面白いかもしれませんね。
優秀な杜氏や蔵人が集まり、酒好きの舌が肥えた顧客が集まってくる中で、切磋琢磨により技術が向上する
ということも、考えられなくはないかと思ったりします。

まとめ

以上、超重要テーマの
競争戦略について
でした。

競争戦略は、中小企業診断士試験において、一次試験でも二次試験でも頻出です。頻出というより、他の多くの知識や概念が、競争戦略の理解の上に成り立っている とも言えるほどに、基盤となる重要な知識になりますので、押さえておく必要性と効果は抜群に高いと思っています😃

他にも、
論点ごとの話題
お薦め本紹介などもしていますので
よかったらそちらも参考にしていただければ幸いです😀

気に入っていただけましたらポチっとしていただけるとうれしいです😄

コメント

このブログの人気の投稿

リース会計を攻略しよう❗

SBGの利益とトヨタの利益は全くの別モノ⁉️

R2年度 事例Ⅱ 第4問の爽やかさよ❗