「ジョブ理論」顧客ニーズとは何なのか【お薦め本紹介】

ジョブ理論

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中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

本日は、イノベーションを起こすための方法論を世に提示し、ベストビジネス書の大賞にも輝いた名著「ジョブ理論」(クレイトン·クリステンセン著)をご紹介したいと思います。もちろん、中小企業診断士試験対策としてもお薦めの書籍です😃

ジョブ理論の内容

ニーズとは何か

企業が世にイノベーションを起こすためには、何をすれば良いのか。いろいろな答え方があるかと思いますが、「これまでになかった、でも、それこそが欲しかった」というモノを生み出して、それを欲する顧客に届けること というのは、有力な解答の一つだと思います。
「顧客のニーズはどこにあるのか?」をよく知らないままで、「自分達の持っている技術やノウハウでこんなことができました❗」とやっても、水溜まりに釣りざおをたらすようなものですよね。なので、「ニーズ」の把握はとても重要です❗
というのが、世にあるマーケティング理論の多くの共通点なわけです。
もちろん本書も、「ニーズ」を踏まえた製品やサービスの展開が重要ということを大前提としてはいますが、じゃあ、ニーズって何なのか?ということが問題になってきます。「そんなもん、顧客に聞けばわかるだろーが。」と思われるかも知れませんが、「そもそも顧客に聞いてみたところで、顧客本人が、自分のニーズをちゃんとわかってないことが多いのではないか?」という疑問が涌いてきます。本書は、そうした疑問を踏まえたうえで、どうやったら顧客ニーズを外さずにイノベーションが起こせるか を説く内容になっています。

顧客には解決したい課題(ジョブ)がある

では、顧客ニーズの正体とは何なのか。言い換えると、顧客がある製品やサービスを利用する理由は何でしょうか。本書における答えは、次のとおりです。

顧客は、常に何らかの課題を抱えている。この課題を「ジョブ」と呼ぶ。そして、顧客は、そのジョブを解決するために、製品やサービスを「雇用」している

というのです。

抽象的すぎて少しわかりにくいですね。本書で挙げられていた例で説明しますね。

ミルクシェイクの例


ミルクシェイクを販売していた店が、もっと売上を伸ばそうと、味をおいしくしてみたり、サイズを大きくしてみたり、いろいろと試してみたものの、効果は今一つでした。そんな中、著者は、顧客がミルクシェイクを購入していく現場をじっくりと観察し、「顧客は何のために、他の飲み物でも食べ物でもなく、ミルクシェイクを買っていくのか?」を徹底的に推測します。
ここで、顧客に、「あなたはなぜミルクシェイクを買おうと思ったのですか?他のオレンジジュースではなく?」と聞いてみたところで、核心を突いた答えが帰ってくるとは限りません。「さぁ、…なんとなく…かな。」とかが関の山です。
では、顧客を年代別や性別でセグメンテーションして分析してみたらどうか。これも、大した答えは得られないだろう と著者は言います。

実際、顧客は、何のためにミルクシェイクを選んでいたのでしょうか。車通勤の途中で店に寄った顧客が次々にミルクシェイクを買っていくさまを見て、著者が辿り着いた答えは、顧客は、「退屈でだるい通勤時間をリフレッシュしてくれて、会社に着くまでの時間を埋められるモノ」を求めているのではないか というものでした。
だから、すぐに飲み干せるジュースではなく、運転しながら気軽に手を伸ばせない食べ物でもなく、片手でサッと飲めてしかもすぐになくならないミルクシェイクが選ばれるのだ と。

ここで、顧客は、退屈な運転中のリフレッシュ というジョブを解決するために、ミルクシェイクを雇用していたことがわかってきました。こうして、ジョブが明確になると、フルーツの果実を混ぜることで、味にレパートリーを増やすと共に飲み干すまでの時間を長くしてみる などの打ち手が考えられます。

さらに、夕方に売れるミルクシェイクは、また違う顧客のジョブのために雇用されています。

著者曰く、「優しい父親になりたいパパが、夕御飯前にママに怒られない程度に子供を喜ばせる」というジョブへの解決策であると。
ここでも、ジョブが明らかになったことで、売上増加策として、少しサイズを小さくしてみる(夕御飯に影響させない) というアイデアが生み出されます。

これらは、購買データを定量的に分析しているだけでは生まれてこない発想ですよね。

ジョブが明確になると

こうして、自社の製品やサービスが、顧客のどのようなジョブを解決するために存在しているかを知ると、より有効な打ち手に、より効率的にアプローチできるようになります。また、新たな製品やサービスを開発する際にも、「どのような顧客に」だけでなく、「どのようなジョブを解決するために」を意識して、その解決策を提示することに全集中することができます。

これこそがマーケティングであり、競争戦略であるということです。

中小企業診断士二次試験では

以上の理論、いかがでしょうか。中小企業診断士の二次試験でいうと、事例Ⅱ(マーケティング)で頻出の、ターゲット設定差別化集中戦略 の真髄と言っても良いのではないでしょうか。

セグメントもターゲッティングも、デモグラフィック(人口統計的)ジオグラフィック(地理的)サイコグラフィック(心理的)な切り口で行うべし❗というのが二次試験対策の定石なわけですが、そこに、このジョブという考え方を足してみたら、より中身のある答えが書けるような気がしますよね。
「日本の風情に触れて多様な価値観や刺激的な経験と学びを得たい」というジョブとか、
「子供のライフサイクルイベントに応じたTPOに合わせたネイルをしたい」というジョブを解決するために、B社がどのようなプロダクトを提供すれば良いか を考えれば良いわけですよね。

まとめ

本日は、顧客ニーズというものを捉える際の手がかりとして非常に使えそうな考え方であるジョブ理論をご紹介しました。

「顧客は、何らかの『ジョブ』を解決するために製品やサービスを『雇用』する」

ということです。

そして、これは、中小企業診断士の二次試験でも、事例Ⅱを中心に、非常に使える概念でもあります。

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