ジョブ型雇用について(出題される?)

ジョブ型雇用

新しい雇用形態?

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

今回は、近年特に話題になることが多いジョブ型雇用について、その概要とメリット·デメリットに加えて、中小企業診断士試験で出題されるとしたらどんな感じになるか、といったことについて、お話したいと思います。(他の論点掘り下げ記事はコチラ

ジョブ型雇用と中小企業

そもそも、ジョブ型雇用とは何でしょうか。

これまでの日本的雇用形態としてイメージされるのは、新卒一括採用→終身雇用制度であり、社員は様々な部署で複数の業務を経験することで、その企業の理念や価値観を深く理解し、会社全体のしくみに精通し、幹部候補生として育成されるというものでした。

いわゆる総合職としての採用と育成であり、このような採用、配置、育成の考え方は、メンバーシップ型雇用とも呼ばれます。

これに対して、ジョブ型雇用は、予め何の業務をするのか、どのような成果を求めるのかを明確にしたうえで、必要なスキルを持つ者を雇用し、入社後の職務に対する評価は、定められた業務内容と期待する成果に照らして行うというものです。

ジョブ型雇用のメリット·デメリット

ジョブ型雇用は、従事する業務を明確化しているというコアな特色はありますが、基本的にはこれまでにもあった中途採用の一形態と見ることもできます。

このため、ジョブ型雇用のメリット、デメリットは、中途採用のそれとよく似ています。

メリット

まずメリットです。

  • 即戦力を確保できる。
  • 必要なスキルが明確であるため、雇用のミスマッチが防げる。
  • 従業員の評価基準が明確。
  • 自社になかった価値観やスキル、ノウハウを保有する者の採用により、組織に多様性をもたらすことができる。
  • 求めるスキルに合致すれば、在宅ワークや短時間勤務等の多様な働き方を受け入れる余地が大きく、人材確保の幅が広がる。

特に、従業員の多様性は、これからの企業に強く求められる要素ですよね。

デメリット

次にデメリットです。

  • 雇用後に該当する業務の必要性がなくなると、人材の余剰につながる。
  • 自社の理念や組織文化が浸透しづらい。
  • 他社での経験に縛られて、自社のやり方に馴染まないことがある。

といったところでしょうか。

じっくりと自社に根付く人材を育成したければ、メンバーシップ型雇用が有利ですが、職務が明確に設計できているのであれば、即戦力で高いスキルを持つ者を効率よく選別できるという意味において、ジョブ型雇用が向いている ということかと思います。

中小企業で導入するとしたら

ジョブ型雇用は、どちらかと言うと、大企業で導入されるケースが多いようです。上で述べたメリット、デメリットを見ていただいてもわかるとおり、業務やスキルを明確化することがジョブ型雇用の特色ですから、個々の従業員に幅広くあらゆる業務をこなしてもらわないといけない中小企業には不向きですね。

大企業なら、業務を細分化して、専門性を高める分業体制の構築が相対的に容易なので、きっちりと組織と職務の設計を行ったうえであれば、ジョブ型雇用との親和性が高いと言えそうです。

では、中小企業では導入の余地がないのか?というと、そんなこともなさそうです。特色を理解した上で、メリットを最大限に活かす方法を考えれば、中小企業でもジョブ型雇用を活用することが望ましいケースもありそうです。

例えば、生産性向上のために全面的にデジタル化を推進することが経営課題になっている企業が、ITスキルの高い従業員を求める場合なんかは、導入時だけでなく、導入後の運用保守業務も存在しているために、人員余剰にならない範囲でジョブ型の雇用ができそうです。

また、固定的な人件費が重荷にならないように、短時間勤務や週に1,2回の勤務など、限定的な労働時間でスポット的に必要なスキルを発揮してもらう形態なども、可能性として考えられそうです。この場合は、フルタイムの従業員とは異なるライフスタイルの従業員を雇用することで、ダイバーシティが実現でき、新たな事業や付加価値の創出につながる可能性も見えてきます。

出題される?

そんなジョブ型雇用ですが、最近のトピックスですし、企業の人事戦略における論点なので、中小企業診断士試験で出題されうる範囲にはスッポリと収まっています。特に一次試験で、特色やメリデメに絡めた出題がされる可能性はそれなりにあるのではないでしょうか。

二次試験でも、「ジョブ型雇用」と設問文に明言されることはないかも知れませんが、例えば、事例ⅠでA社が、業務とスキルを明確化して即戦力の採用を検討しているといった状況が出題されることは、可能性としてなくはないでしょう。「このような採用にあたってどのような点に留意すべきか。中小企業診断士として、100字以内で答えよ。」とか、出てもおかしくないですよね。

こういった設問が出たら、「人員余剰が生じないように業務量と組織内のリソースの分布を考慮して採用する規模やスキルを検討すること、評価制度を明確化すること、研修やOJTにより経営理念の浸透を図ること」などが留意点になる感じでしょうか。

まとめ

以上、今回は、ジョブ型雇用について、メリデメや特色についてお話しました。

特に大企業と親和性が高い手法ですが、中小企業でも活用する方法や状況はあり得るということや、しっかりと職務設計を行った上であれば有効活用により競争優位の獲得につながり得ること、スキルや価値観の多様性を実現しやすく、うまく活用することでこれまでになかったアイデアや技術を獲得できる可能性があること等が言えるかと思います。

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