事例Ⅰ攻略編❗中小企業はニッチ市場を狙え❗

ニッチ市場という舞台

ニッチに生きろ❗

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます😄

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

今回は、なぜ中小企業はニッチ市場を狙うべきなのかというテーマについて、深掘りしてみたいと思います。

中小企業診断士試験においても、ニッチな市場で勝負することで競争力を維持している企業が出題されたりしていますよね。それだけ、中小企業にとっては有効な戦略的要素なわけです。

なぜ中小企業は巨大市場を狙わない方が良いのか、なぜ大企業はニッチ市場に来ないのか、といった疑問とも合わせて整理してみたいと思います😃

(他の論点掘り下げ記事はコチラをご覧ください)

ニッチな市場

ニッチな市場というのは、市場全体の中で、他と区分することが可能な、特定のニーズや嗜好を持った市場セグメントのことです。そこでは、独特のマニアックなニーズや嗜好を持った顧客が存在し、顧客規模が相対的に小さいことが一般的です。

自動車業界で言うと、超高級スポーツカー市場を狙ったフェラーリはニッチ狙いの戦略が奏効した例と言えますね。他にも、二郎系ラーメンとか、地下アイドルとか、高級ストローの製造とか、コアなアンダーグラウンド音楽とか、いわゆる幅広く一般受けしなさそうだけど一部のコアなファンからは絶大な支持が得られるというような製品やサービスは、ニッチ市場狙いの戦略展開をしているということですね。

ちなみに、ほとんどの業界が、最初はニッチな業界として始まっています。

コンビニエンスストアは、スーパーが営業しない時間帯を狙ったニッチな事業として始まりましたし、FacebookなどのSNSにしても最初の市場規模は小さいものでした。

ニッチ市場が大規模市場に拡大するか、ニッチなままであり続けるかは、その製品やサービスの特性によります。ニッチなニーズにターゲッティングする企業にも、市場の拡大成長狙いの場合と、末永くニッチなままの市場で存在感を保ち続けようとする場合があるということですね。

どんな業界も、最初は革新的事業として始まっていることから考えると、いつの世も、道を切り拓くのは、敢えて小規模市場に飛び込んだ開拓者であるということが言えるかと思います。

なぜ中小企業はニッチ市場を狙うべきなのか?

なぜ、中小企業はニッチな市場を狙うべきなのでしょうか。なぜ、大規模なメジャー市場に打って出るのはやめた方が良いのでしょうか。

端的に言うと、競争優位を獲得するためです。

大規模な市場には、当然ながら多くの競合企業が存在します。大衆向けの製品やサービスは、コモデティ化が避けられず、競合との競争も、品質や性能やブランドといった差別化による競争よりも価格面での競争がメインになってしまいます。

価格競争になると、経営体力のある大企業が断然有利になり、中小企業は苦しい戦いを強いられることになります。

一方で、市場規模の小さいニッチ市場であれば、競合の数も少なく、大企業もなかなか参入してきません。
そうした市場であれば、中小企業の強みである小回りの効く運営体制を最大限に活かして、ニッチなニーズに寄り添うことができます。そして、こだわりの製品やサービスでそうしたニーズに応えることで、その市場のコアな顧客からの支持を獲得し、体力を削り合う不毛な価格競争とは一線を画した事業展開が可能になるのです。

なぜ大企業はニッチ市場に来ないのか?

ここで、次の疑問がわいてきますよね。

なんで大企業はニッチ市場に参入してこないの?

と。

その答えは、大企業の強みと表裏一体になっています。

なぜ大企業が小規模な市場に参入してこないかというと、単純に、それが競争優位につながらないからです。

そもそも、大企業が中小企業に対して優位に立てるのは、巨額の研究開発費をかけて優れた製品やサービスを開発し、巨額の広告宣伝費を使って認知率と好意度を上げ、巨額の設備投資により大量生産を行って製品単価を引き下げることで、良いものを安く供給できるからにほかなりません。

要するに、規模の経済が強みの根源にあるわけです。

そして、大企業がこうした強みを発揮しようとすると、多額の研究開発費や広告宣伝費や設備投資を回収できるだけの売り上げを上げる必要があり、結果的に、巨大市場に向けて事業展開していくほかなくなるのです。

もちろん、大企業でも、事業実施単位を細分化して独立させ、それぞれでバラバラに事業実施することも理論上は可能です。しかし、そうすると、肝心の大企業の持つ強みが活かせなくなり、小規模事業者とガチンコで勝負することになってしまいますので、通常はそのような戦略は採用しないのです。

ということで、市場規模が小さければ大企業参入という最大の脅威は消え去った。安心安心😏と言いきれるかというと、実はそうとも言いきれません。大企業が優位性を保ったまま小規模事業に参入することができる場合があるのです。

それは、範囲の経済シナジーを発揮できる場合です。

個々の事業が対象とする市場が大企業にとって割の合わない小規模市場だったとしても、それを複数束ね合わせて一定の規模を確保でき、それらの事業に共通する活動を一括して大規模に実施できるような場合は、大企業の強みが効いてくることになります。いわゆる範囲の経済ですね。

あるいは、複数事業を実施することで、相乗効果によってそれぞれの製品やサービスの価値が高まるような場合は、個別の事業だけを実施している企業よりも、複数事業を展開している企業の方が優位を獲得できますので、複数事業を展開する経営資源と体力を持った大企業が有利になります。これがシナジーです。

(規模の経済、範囲の経済、シナジーについては、こちらの記事【「シナジー」と「範囲の経済」と「規模の経済」の違い】も参照ください。)

勝負できるニッチ市場の条件

以上を踏まえると、中小企業が有利に事業展開できるニッチ市場の条件が見えてきます。

  • 大企業が規模の経済を効かせることができないほどに小規模な市場である
  • とは言いながら、中小企業である自社の事業を成立させられるだけの市場規模はある(いくら大企業が入ってこないとはいえ、さすがに対象顧客数名が年間に数万円を落とすだけといった市場では中小企業も食べていけません)
  • 大企業が範囲の経済シナジーを大々的に効かせられないほどに、他の事業との経営資源やノウハウの共通性が少ない
  • 他の市場と区分でき、そのニッチ市場にのみアクセスする有効なチャネルが存在している

そして、何よりも、

  • 自社がその市場ニーズに応えるだけの技術やノウハウを保有しており、競合の中小企業がそれを模倣することが困難である

ということが成立している市場こそ、自社が経営資源を集中させて、誰にも真似できない独壇場を築くべきターゲット市場ということになりますね。

中小企業診断士二次試験での取扱い

過去の中小企業診断士二次試験において、こうした、ニッチ市場に特化した事例問題が出題されています。

以下、ネタバレを含みますので、二次試験問題を所見のままとっておきたい方はスルーしてください。

令和元年 事例Ⅰ
農作物の乾燥技術という強みを磨き、試験乾燥サービスを展開し、乾燥サービスというニッチ市場での成長を狙う
平成30年度 事例Ⅰ
エレクトロニクスメーカーのA社がニッチ市場に向けて製品を開発する
平成22年度 事例Ⅰ
スティックシュガーについて、少量のため大手製糖メーカーが対応しない中小喫茶店向けのニッチ市場で事業展開する

モロにニッチ市場であることが明示されているのはこの辺りですが、基本的には、大手との競合は避けて、独自の強みやこだわりを活かした差別化集中戦略をほぼ全ての事例企業がとっています😃

いかに大企業の強みを無力化するか、という中小企業のしたたかな戦略こそ、診断士試験の肝ともいえるかと思います。

まとめ

今回は、なぜ中小企業はニッチ市場を狙った方が良いのか、についてお話しました😄

  • 大企業が規模の経済を発揮できない小規模市場において小回りの効く経営で競争優位を築く
  • 範囲の経済やシナジーの発揮による優位性を狙ってくる大企業に注意
  • 最も重要なのは、ニッチなニーズに応える自社のこだわりと経営資源の蓄積

ということで、中小企業診断士試験でも、ニッチ市場で勝負できそうな匂いがしたら、すかさずそこを解答の軸にしていくことで高得点を狙う、という戦略が有効ではないかと思います。

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