複式簿記の基本を理解しよう❗

複式簿記とは?

鬼門❗複式簿記❗

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

今回は、中小企業診断士試験の鬼門となるケースも多い財務会計の対策において、絶対に押さえておくべき基本ポイントである複式簿記について、基本となる概念をわかりやすくご説明したいと思います。

一次試験における財務会計も、二次試験における事例Ⅳも、複式簿記の基本を理解できていないと、得点は安定しません。
何となく用語や解答の雰囲気は掴めてる気がするけれど、ぶっちゃけ複式簿記って何よ?と真正面から聞かれると答えに詰まってしまう、という方は、是非、この機会に、基本概念を理解して、財務会計の得点を底上げしていただければと思います😃

複式簿記の基本

人類史上最高の発明とも言われている複式簿記

とても合理的で重要なようだけど、正直、仕事で会計に携わらない限りは、特に意識したりしっかり理解したりする機会のないジャンルですよね。
そして、中小企業診断士試験の勉強を始めることになって、「とうとう、向き合う時が来たか…。」という方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。

会計理論と言えば、減価償却経過勘定引当金、なぞという難解なワードが並んで、嫌になってしまうかも知れませんが、実は、これらの基本となる複式簿記のさらに基本となる核心的な本質は、極めてシンプルです。

左右対称❗

以上です❗

複式簿記では、あらゆる経済取引を、左側の借方と、右側の貸方に、それぞれ適切な科目をセットして、左右同額になるように記録します。これを仕訳といいます。

5つの箱

さて、では、借方(左側)と貸方(右側)には、どのような科目が入るのでしょうか。

正解は、全ての科目です。

いや、わかりませんよね。すみません。

複式簿記における科目は、大きく、以下の区分で分類できます。

資産科目
現金預金売掛金前払金などのほか、取得した機械設備土地建物などの固定資産も含まれます。
費用科目
当期の事業活動において、成果を実現するために投じたコストで、売上原価広告宣伝費人件費などがこれにあたります。
負債科目
企業が外部から借りているなどで、今後何らかの支払をしないといけない約束(=債務)のことで、買掛金借入金などが該当します。
純資産科目
企業の元手である資本金や、これまでの事業活動で獲得してきた利益の内部留保である利益剰余金などです。
収益科目
事業活動の成果を表す科目で、売上高が代表選手です。

この5つの区分のうち、資産科目費用科目は、資産を取得した時や費用が発生したなどの増加時には借方に計上し、逆に減少の場合は貸方に計上する科目です。

残りの3つ、負債科目純資産科目収益項目は、借金をした時や株主からの出資があったときや売上が上がったなどの増加時には貸方に計上し、減少時には借方に計上する科目になります。

2つの側面で記録する❗

そして、複式簿記というのは、あらゆる経済取引について、

借方

  • 資産の増加
  • 負債の減少
  • 純資産の減少
  • 費用の増加(発生等)
  • 収益の減少(取消等)

と、

貸方

  • 資産の減少
  • 負債の増加
  • 純資産の増加
  • 費用の減少(取消等)
  • 収益の増加(実現等)

の2つの側面で捉え、それぞれについて、左側(借方)と右側(貸方)で記録していくものだ❗ということです。

具体的な例で見ていきますね。

(例1)

例えば、お客さんに商品が売れて100円の現金を受け取ったとき、借方には、現金という資産の増加を記録し、貸方には、売上という収益の実現を記録します。

借方 貸方
現金 100円 売上 100円

という、仕訳をすることになるわけですね。

(例2)

商品を仕入れて80円を支払った場合は、借方には、売上原価という費用の発生を記録し、貸方には、現金の支払による資産の減少を記録します。

借方 貸方
売上原価 80円 現金 80円

という、仕訳です。

まだ、例をいきましょう。

(例3)

株主からの新たな出資5,000円と銀行からの借入3,000円で資金8,000円を調達したという取引は、借方には、現金という資産の増加を記録し、貸方には、出資による純資産の増加と借入という負債の増加を記録します。

借方 貸方
現金 8,000円 借入金 3,000円
資本金 5,000円

という、仕訳になります。

(例4)

そして、その8,000円で工場の機械を購入した場合は、借方には、機械設備という資産の増加を記録し、貸方には、現金支払による資産の減少を記録します。

借方 貸方
機械設備 8,000円 現金 8,000円

となります。

以上で、複式簿記の基本概念左右対称だということがわかっていただけたでしょうか?

次からは、そうやって左右対称での記録が、どのように取りまとめられるかを見ていきたいと思います。

経営成績

さて、全ての経済取引が左右対称で記録されたわけですから、上の5つの箱に属する全ての科目を合計すると借方合計と貸方合計は当然に一致しますね。(もし一致していないとしたら、どこかで左右非対称の仕訳というとんでもない会計事故が起こっているはずです。)

次に、この5つの箱のうち、収益科目費用科目だけを取り出してみます。

5つの箱から2つの箱だけを取り出してみたわけですから、この2つの箱の合計では、借方貸方一致するとは限りません。というか、普通一致しません

例えば、収益科目貸方合計が200円、費用科目借方合計が180円、というように。
(ここで、貸方の金額が20円多いということは、残りの3つの箱では借方が20円多くなって、5つの箱の合計では借方貸方は一致する、ということは想像のとおりです。)

この、収益科目費用科目の2つの箱についてだけ切り出して見てみたものが、経営成績を表す損益計算書です。
上の事例では、収益科目の方が20円多いですから、利益は20円ということになりますね。

財政状態

5つの箱のうち残りの3つの箱である、資産科目負債科目純資産科目、を取り出してみたものが、財政状態を表す、貸借対照表の項目になります。

貸借対照表は、貸方負債純資産どうやって資金を用立てたかを表し、借方資産それをどういう運用形態で保有しているかを表すものです。

上の例のように、損益計算書の2つの箱で貸方が20円多い場合は、貸借対照表の科目では、借方資産貸方負債純資産の合計より20円多くなっているはずですよね。

この20円は、どうやって用立てたかというと、事業活動の結果自らの稼ぎだしたということになるため、純資産科目である利益剰余金を増加させることで、貸借対照表の3つの箱の中で左右を一致させます。これで貸借対照表が完成し、その企業の財政状態が表されることになります。

支出が費用になるか資産になるか

以上、見ていただいたとおり、経済取引を借方貸方の両面から捉えて記録したうえで、経営成績財政状態を表す科目に分けて整理するのが複式簿記の基本概念であることをご理解いただけたかと思います。

ここで、一つの疑問が生まれてくるかも知れません。

ある取引について、5つの箱のうちどの箱の増減として記録するかって、毎回明確なものなの?

と。

実は、毎回明確であるとは胸を張っていえません。

どの箱の科目とするかについて悩ましいケースの代表例が、借方の科目を資産科目とするか費用科目とするかという判断です。

例えば、機械設備や建物の補修を行った場合に、それが、補修費として費用に計上すべきなのか、資産の増加として計上すべきなのかが微妙な時があります。
資産に計上すればその期の損益計算上の費用が少なくなって利益が増えることになりますし、費用計上すれば利益が少なくなりますから、結構重要な判断ですよね。

実務上は、税務上、経費として認められるかどうか等を目安に様々なルールや事例を下に判断していくことになるのですが、こうした、資産か費用かの判断で迷う、という会計実務上のあるあるも、これまでに述べた複式簿記の基本概念をご理解いただければ、感覚的に分かっていただけるのではないかと思います。
「要するに左側の借方科目の中で、どっちに付けるのかってことやな」と。

まとめ

以上、今回は、財務会計の基本となる複式簿記について、その概念を説明して参りました。

左右対称であることと、5つの箱に分けるということをイメージいただければ、ツボは押さえていただけるのではないかと思います。

基本は結構シンプルなんやな。

と、感じてくださる方がいれば、望外の喜びです。

これからも、中小企業診断士を目指される方にとって有益と思う情報を発信していければと思います。

(他の論点に関する解説記事はコチラをどうぞ)

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