事例Ⅱ攻略に向けて❗(ブランド論)

ブランド論

勝つための「ブランド」❗

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

今回は、中小企業診断士二次試験の事例Ⅱで頻出の論点であるブランドについての名著「ブランド論」(デービッド·アーカー著)をご紹介したいと思います。

以前の記事「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」(岩崎邦彦先生)【お薦め本紹介】でもブランドに関する良書をご紹介しましたが、今回も主張されている本質は同じです😃

ただ、本書の特徴は、ブランドという切り口から企業経営上の様々な課題を捉えていることです。全社戦略事業戦略組織戦略といった要素が網羅されていて、中小企業診断士試験対策の観点からもかなりお薦めです❗

(他のお薦め本の紹介はコチラをどうぞ❗)

ブランドという戦略

大企業でも中小企業でも、競争優位を獲得し維持していくために避けては通れないのが、ブランド構築です。

製品やサービスの機能や品質自体で完全なる差別化を実現して高い収益を得るためには、よほど決定的な技術やノウハウを保持していないといけません。
しかも、おいそれと模倣されないものとして。
そのような技術やノウハウを保有できることは稀です。
ですので、多くの企業では、そのような形で優位性を確保できないことを前提に、どうやったら勝てるのかを考えるべきなのです。

そして、製品力やサービス品質だけでは優位を獲得できない企業が、競合を凌いでいくための最有力手段こそが、ブランド構築なのです。

以下、強力なブランドを構築するために何が必要なのかについて、本書で語られるエッセンスを要約してみます。

ブランドは資産

本書で繰り返し語られる重要ポイントは、「ブランドは資産である」ということです。

ブランドが、競争優位の獲得に必要不可欠な戦略上の重要要素であることは上で述べました。

ですから、ブランド構築をマーケティング部門に任せて短期的な売上増加を狙っているだけではダメなんです。

ブランド構築とは、経営戦略上の重要資産を形成する活動である。という認識の下、経営トップの明確な意志と関与の下で、継続的に投資を続け、長期的視点で取り組んでいくべき戦略レベルの話なんです。

まずは、経営陣がこの認識を持って取り組んでいくことが、何よりも大切なスタートになります。

ブランド価値の測定

ブランドに対して戦略的に投資していくためには、投資判断の根拠として、ブランド資産をどのように測定し評価するかが課題になってきます。

90の投資を必要とする局面で、ブランド価値が全くわからなければ意思決定のしようがありませんが、ざっくり200程度の価値があるだろうとわかっていれば、自信を持って投資決定ができますよね。

そこで、本書で解説されるブランド価値の測定法についてご紹介します。

本書では、ブランド価値は、

  1. その事業の将来収益の割引現在価値を求め
  2. 売上に貢献する様々な要素のうち、ブランドがどの程度の比率を占めているかを関係部署と協議しながら評価し
  3. これらを掛け合わせる

ことにより算出できるといいます。

2.の売上貢献比率の評価がものすごく難易度が高そうな気がするんですけどね。本書の著者は、「30%か40%かで迷うことはあっても、10%か50%かで迷うことはないだろう。」と言っていますので、ある程度の評価の幅は許容すべしということなんでしょうね。

ブランドビジョンを示せ❗

さて、ブランド構築に継続的に投資していこうという経営者の覚悟ができたとして、どうやって強いブランドを作っていけば良いのでしょうか

本書では、まずはビジョンだと言います。

そのブランドによって、顧客に何を与えたいのか。顧客に何の価値の提供を約束するのか。という、ブランドの意味を掲げなければなりません。
そしてそれは、顧客の共鳴を得られるとともに、社内の従業員や事業のパートナーがそのビジョンの実現に向けて奮い立つようなものである必要があります。

そのビジョンの下で、一貫したブランド構築努力を継続していった先に、ブランドパーソナリティーが立ち上がります。
ブランドパーソナリティーとは、ブランドイメージを擬人化したようなもので、例えば、コカ・コーラや、メルセデスや、アップルといったブランドをイメージした時に感じる、爽やかさや、品格や、洗練されたセンスといったものです。
適切なブランドパーソナリティーが確立できれば、これに共鳴する顧客からの強いロイヤルティを得られるとともに、他社が模倣できない強力な差別化要素にもなるのです。
そのためには、予め明確にしたビジョンに向かって、長期的に、一貫して、ブランドへの投資を続けていかなければなりません。

ブランドは組織で作る❗

しかし、こうしたブランドイメージやブランドパーソナリティーというものは、組織の文化や価値観と整合がとれたものでなければ成立しません。

ブランドビジョンとは顧客に特定の価値を提供することを約束するものですので、自分達の組織が実際に達成できるものでなければなりません。
そして、顧客がそのビジョンに共鳴し、満足して選び続けてもらうようになるには、他の誰かが簡単に真似できるものであってもいけません。
つまり、自社達だからこそ当たり前に提供できる価値を見つけ、そこに狙いを定めなければならないのです。

組織は、同じような構造で同じように運営されていても、その構成員である人間が異なれば、当然、違った文化や価値観を持つようになります。そして、それが歴史を経て積み重なれば、他社が模倣困難な組織文化ができあがります。こうなると、他の組織との差別化ポイントが、組織内の人間にとっては空気のように当たり前すぎて、意識するどころか気づくことすらないという状態ができあがります。

こうした状態で、その組織独自の文化とマッチしたブランド構築ができれば、競合はこれを真似できません。模倣困難な持続的競争優位の源泉の出来上がりです。

ただし、単に歴史を経ればこうした強みとなる文化が自動的に積み上がるわけではもちろんありません。自社ブランドが何の価値を約束しているのかを組織内でことあるごとに共有し、その実現のためにどのような行動や発想が望ましいかを経営トップが率先して示し語りかけ、人事配置や人事考課を通じてメッセージを発し続けることで、ようやく形成されるものだということを理解しておかなければなりません。

ゲームチェンジャーであれ❗

最後に、ゲームチェンジャーとなった企業が高収益を持続的に獲得するために有効なブランド戦略についてご紹介します。

それまでの業界の常識を覆す破壊的なイノベーションを起こすことに成功すれば、高い競争力で市場を支配する道が拓けて来ます。

ウォークマンのSONYやiPhoneのアップルを思い浮かべていただければイメージできますよね。

しかし、新たな技術や着眼点はすぐに後発組に模倣され、何の手も打たなければ競争優位を失ってしまいます。

ここで、競争優位を維持するために、ブランドが効いてきます。

斬新な製品やサービスを展開した最初の段階で、それをブランド化してしまうのです。正にiPhoneやウォークマンやルンバがやったように❗顧客層がその製品ジャンルを思い浮かべる時に自社のブランドを連想するような強力なイメージを構築できれば、後発組が模倣してきても、自社の優位性を維持することができるのです。

そして、本書ではもう一つ、ブランドのコンセプトを活用したゲームチェンジの方法も紹介されていました。

これは結構面白かったんですが、既に開拓され尽くした感のある分野であっても、これまで誰も気にしていなかった切り口を提示し、自社に有利な新しい形の土俵を作り出すことで、優位性を確保するという手法です。

例えば、既にブランドが百花繚乱であるチョコレート市場において、「口で溶けて手で溶けないチョコ」という切り口をアピールして、顧客に「ほう。😏」と思わせるのです。
競合はそんな切り口で商品開発してないので、顧客からの共感を得られる新しい土俵を作り出せれば、正に独壇場というわけです。
面白いですよね😄

まとめ

と、いうことで、今回はブランドに関する名著「ブランド論」をご紹介しました。

  • ブランドを戦略的資産と捉えて経営トップ主導で構築する
  • ブランドビジョンを明確にする
  • 組織文化に適合したブランド構築で、競合の追随を許さない
  • 業界の常識を打ち破るプロダクト展開は、ブランド化とセットで強力な優位性を築く

といったことがブランド戦略の要諦と言えますね。

中小企業診断士試験の、特に二次試験事例Ⅱにおいて、大いに参考になる書籍かと思います。

これからも、中小企業診断士試験の参考になりそうな情報をお知らせしていければと思っています。

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