【中小企業診断士・事例Ⅱ】あなたはまだ
「思いつき」で戦うつもり?
合格者が実践する5つの思考法
イントロダクション
中小企業診断士試験、特に事例Ⅱのマーケティング問題。与件文を読んでも問題が漠然としていて、どこから手をつけていいか分からない。「強みを活かして」「顧客ニーズに応える」といった言葉は思いつくものの、結局は**「イベント開催」「SNS活用」**のような、どこかで聞いたことのある施策を思いつきで並べてしまう…。そんな経験はありませんか?
多くの受験生がこの**「思いつきの罠」**に陥りがちです。しかし、断言します。合格者は決してひらめきや勘に頼って解答を書いてはいません。彼らは、曖昧に見える問題から論理的に正解を導き出すための、構造化された**「思考法」**を実践しているのです。
この記事では、そんな事例Ⅱを攻略するための5つのコアな思考法を伝授します。これを身につければ、あなたの事例Ⅱへのアプローチは劇的に変わり、曖昧な問題が解くべき課題へと姿を変えるはずです。
思考の起点:「ひらめき」ではなく「フレームワーク」から始める
事例Ⅱの解答作成は、クリエイティブなアイデア出しから始まるのではありません。与件文に書かれた客観的な事実を整理し、体系的に分析することから始まります。そのための最も強力な武器が、経営戦略の**「フレームワーク」**です。
事例Ⅱの第1問では、企業の環境分析が問われることが定番となっています。ここで主に用いるのが**SWOT分析**と**3C分析**です。
これらのフレームワークを使う最大のメリットは、思考を与件文の記述に強制的に結びつけられる点にあります。あなたの解答は根拠のない思いつきから、**事実に基づいた客観的な分析へと変わります**。
POINT:
この分析で明らかになった「強み」と「機会」こそが、後続の施策を考える際の揺るぎない**根拠**となるのです。(例: 「伝統技術」×「インバウンド増加」→「外国人向け体験教室」)
施策の目的:「プロモーション」を4段階の「顧客導線」で分解する
「プロモーション施策を考えよ」という設問に対し、施策をただ挙げるだけでは合格答案にはなりません。重要なのは、その施策が顧客との関係構築において、どの段階で、どのような目的を果たすのかを明確にすることです。
そこで有効なのが、プロモーション活動を4段階の**「顧客導線(マーケティングファネル)」**で分解して考える思考法です。
- 1. 集客 (Attracting Customers): 潜在顧客にどう**気づいて**もらうか。
- 2. 販売 (Sales/Conversion): 集客した見込み客に、どうやって**購入を決断**してもらうか。
- 3. リピート (Repeat Business): 一度購入してくれた顧客に、どうやって**再び購入**してもらうか。
- 4. 拡散 (Diffusion/Spread): 満足してくれた顧客に、どうやって**口コミや紹介**を通じて、新たな顧客を連れてきてもらうか。
採点者は、あなたが提案する施策の**「目的」**が明確であるかを厳しく見ています。この4段階のどこに位置する施策なのかを意識するだけで、解答の論理性が飛躍的に高まります。
資源の視点:最大の武器は「会社の外」にあると知る
事例Ⅱに登場するB社は、経営リソースが限られている中小企業です。ではどうするのか?答えは**「会社の外」**にあります。自社にないリソースを持つ外部パートナーと連携するのです。
この思考法には、大きく分けて2つの戦略があります。
- 協業 (Collaboration): 他の企業と手を組み、お互いの弱点を補完し合う戦略。
- 地域連携 (Regional Cooperation): 行政、商店街、農家、地域住民といった、**その土地に根差したプレイヤー**と協力する戦略。
経営リソースが少ないからこそ、外部の力を借りる。この発想は、中小企業の非力さを強みに変える、事例Ⅱにおける極めて重要な戦略的思考法なのです。
価格の扱い:「価格設定」ではなく「価格戦略」で発想する
中小企業にとって、安易な値下げは利益を圧迫するだけで得策ではありません。重要なのは、価格を単なる「値付け」ではなく、価値を高め、販売を促進するための**「戦略ツール」**として捉え直すことです。
その代表例が**バンドリング戦略 (Bundling Strategy)**です。
バンドリングとは、複数の商品やサービスを組み合わせて、単一のパッケージ商品として提供する戦略です(例:旅行のパッケージツアー)。
バンドリングのメリット:
- 独自性の創出(競合が真似しにくい)
- 高付加価値化と顧客単価の引き上げ
- 価格の非可視化(原価積み上げ方式からの脱却)
単に価格を上げ下げするのではなく、商品やサービスの組み合わせによって価格の**「見せ方」**を変え、価値を最大化する。これが合格者が実践する価格戦略の思考法です。
顧客とのゴール:「顧客満足」ではなく「エンゲージメント」を目指す
現代のマーケティングにおいて、顧客との関係性のゴールは「顧客満足」のさらに先にあります。顧客との関係性を3つの段階で理解しましょう。
・顧客満足 (CS): 顧客の期待に応えること(最低限の目標)。
・ロイヤルティ: 顧客が抱く一方的な好意(リピート購入)。
・エンゲージメント: 企業と顧客の**双方向的で継続的な深い関係性**(真の「両思い」)。
中小企業が目指すべき最終ゴールは、この**エンゲージメント**の構築です。エンゲージメントが深まることで、顧客は単なる購入者から熱心な**「ファン」**へと変わり、顧客生涯価値(LTV)が最大化されます。
「体験教室」のような施策は、単なる販売促進ではなく、顧客を商品開発のプロセスに巻き込み、コミュニケーションを深めることでエンゲージメントを醸成する絶好の機会と捉えることができます。
まとめ
今回ご紹介した5つの思考法を振り返ってみましょう。
1. フレームワークから始める
分析の土台を固め、戦略の根拠とする。
2. プロモーションを4段階で分解する
施策の目的を明確にし、好循環を生み出す。
3. 外部資源を活用する
自社の弱点を強みに変え、独自の価値を創出する。
4. 価格を戦略的に扱う
バンドリングなどで付加価値を高め、価格競争から脱却する。
5. エンゲージメントを目指す
顧客をファンに変え、持続的な成長サイクルを築く。
これらは「思いつき」で解答を探す受動的なアプローチから、与件文に基づいて論理的に戦略を組み立てる能動的なアプローチへの、根本的な思考の転換です。
次に過去問を解くとき、これらの思考法の一つでも意識してみてください。設問がまったく違って見えてくるはずです。

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