鴻海精密工業の事例問題(二次試験練習問題 事例Ⅰ、事例Ⅲ想定)

鴻海精密工業の事例

業界を変える戦略

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中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

先日の記事「二次試験の練習問題を毎日生み出す方法❗問題に飢えているあなたに」でお話ししたとおり、中小企業診断士の二次試験勉強において陥りがちな【練習問題不足】への対策として、ニュース記事から、二次試験の練習問題を作り出してご紹介するシリーズです。(他の練習問題はコチラ

今回は、最近のニュースの中から、鴻海精密工業の新工場建設検討に関する記事を基に、作問してみたいと思います。

鴻海の電気自動車工場建設事例

事例(記事)の概要

台湾の鴻海精密工業が、同社では初となる電気自動車工場を建設する方針を発表しました。

建設候補地として、メキシコとウィスコンシン州(アメリカ)の2箇所が挙がっており、熟練労働者や技術者の確保等の条件を精査して、いずれの候補地に建設するかを決定していくとのことです。

鴻海は、急成長する電気自動車市場を新たな収益源とするべく、半年程前に、電気自動車のオープンプラットフォームを立ち上げました。MIHと呼ばれるこのプラットフォームでは、多くの企業の参加を得て、電気自動車の部品や制御ソフトウェアの汎用品化を進めています。これら汎用化された部品やソフトウェアを基盤として、生産受託を大規模に行うことで、電気自動車業界で巨大なシェアを獲得することを狙っています。

今回建設する工場においても、鴻海の独自ブランドではなく、他社ブランドの生産受託を行うことを想定しています。

練習問題 設問1

鴻海精密工業は電気自動車業界においてシェア拡大を図っているが、どのようにしてこれを成功させようとしているか、競争戦略の観点から答えよ。

練習問題 設問2

鴻海精密工業は、工場建設候補地として2箇所のうちのいずれかを検討しているが、建設地の決定にあたって、労働者や技術者の確保以外に、どのような条件を検討する必要があると考えられるか。

解答の検討

さて、いかがでしょうか。

相変わらず、与件文がぎこちないのは、まぁ、…、良いとして(おいっ❗)、競争戦略と工場立地という2つの経営上の重大判断に関する設問にしてみました。

鴻海といえば、アップルのiPhoneを生産受託していることや、日本人にとってはシャープを買収したこと等でも有名な、電子機器の受託生産を事業の中核としている超大手メーカーですね。

そんな鴻海は最近、「これからは電気自動車だ‼️」というわけで、電気自動車事業に新規参入したわけです。そして、持ち前の豊富な経営資源と資金力で、多くの電気自動車メーカーと提携しながら、急成長する電気自動車市場で巨大なシェアの獲得を狙っています。

設問1について

さて、どのようにシェアの拡大を図っているかです。

鴻海は、電気自動車生産のオープンプラットフォームを立ち上げていますね。これは、部品やソフトウェアを汎用化して、いわゆるデファクトスタンダード(業界標準)を作り上げ、これを基盤として多くの電気自動車ブランドの生産を受託することで、大量生産による低コスト化を実現し、これによって競争優位を獲得しようという狙いだと思われます。

また、生産を受託するプラットフォームを整備することで、新たに電気自動車事業に参入したい新規ブランドも、製品の企画と開発さえやってしまえば、自前で生産設備やサプライチェーンを用意せずとも、鴻海に生産委託をすれば良い。という状況を作り出せるため、電気自動車業界への新規参入者の参入障壁を下げることができ、より多くのメーカーの参入によってさらに大規模な生産ができる という展開が期待できます。

以上より、ここでの解答例は次のような感じでしょうか。

「オープンプラットフォームによる部品や制御ソフトウェアの汎用化によって大量の生産を受託する環境を構築し、規模の経済による低コスト化で競争優位を獲得するコストリーダーシップ戦略を採用している。」

もっと良いのがありましたら、是非コメントで教えてください。

設問2について

これは、工場立地において検討すべき条件として、一般的にどのようなものがあるかを理解しているかどうか。を問われているような雰囲気の設問になりましたね。

そして、設問の制約条件で、「労働者や技術者の確保以外」という指定がありますので、それ以外の要素で解答しなければなりません。

電気自動車の製造を行う工場ということですから、汎用化した多くの部品を供給業者から納入しないといけませんし、また、完成品を市場に効率的に展開できなければいけません。ここから、サプライチェーン構築の地理的容易性や、巨大市場への展開のしやすさが大事になってくることが言えると思います。

また、メキシコとアメリカ(ウィスコンシン州)ということで、行政も異なるので、法規制や補助金などの条件にも留意すべきです。

以上より、解答例としては以下の感じでしょうか。

「検討すべき条件は、①供給業者や納入先市場へのアクセス容易性、②法規制や補助金などの行政上の規制や支援制度 などである。」

こちらも、より良い解答がありましたら紹介していただければと思います。

まとめ

今回は、これまでと違って、有名な超大企業のニュースを題材にさせていただきました。

私はこれら企業の内情も知りませんし、ニュース記事でしか情報を知りませんので、鴻海の本当の競争戦略や、今回の工場建設にあたって検討されている立地条件が、上で述べたものと全く違う。という可能性もあります。

しかし、もとより、示された与件文章と設問文から妥当(そう)な解答を導き出す練習問題という位置付けのものとして提示しておりますので、実在事例との相違につきましては、ご容赦いただければと思います。

それにしても、プラットフォームを整備して受託生産を大規模に行う鴻海のような企業と、マーケティングと製品の企画開発に特化する企業の連携という形が電気自動車業界の主流になるとしたら、既存の自動車メーカーにとって、凄まじい脅威になりますね。

一方で、鴻海のプラットフォームには、日本からも多くのハイテク企業が参加しており、まさに自動車業界のメインプレーヤーが大きく様変わりするかも知れない変革期を迎えていますね。

と、いうことで、これからもこのような練習問題を引き続き作問して提示していければと思っております。

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