メルセデスの生産管理事例(事例Ⅲ)

メルセデスの生産管理事例

生産システムの理想形❗

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

先日の記事「事例Ⅲの練習問題を作る方法❗問題に飢えているあなたに」でもお伝えしたとおり、事例Ⅲに関する練習問題にできそうなニュースはなかなか見つけにくいところですが、今回は、そんな中で、事例Ⅲの与件文に頻出の論点を含んだニュースを見つけましたので、ご紹介したいと思います。

ベンツで有名なドイツの自動車メーカーのメルセデスが、新型Cクラスをドイツのブレーメン工場で生産開始した。というニュースです。

メルセデスの最新生産体制

ニュース記事はコチラ(「メルセデス ベンツ Cクラス新型、生産開始…最新デジタル工場で」記事引用元:レスポンスです。

新たに投入するモデルである新型Cクラスの特色やアピールポイント等が記事の前半部分で解説されています。市場ニーズの把握とターゲッティングを踏まえて開発が行われたのでしょうから、そうしたマーケティングの観点からも興味深い記事ですが、今回、私が興味をそそられ、ここでご紹介したいのは、記事の後半部分で解説されている、新たな生産方式についてです。

生産システムの革新

記事によると、新型の生産にあたって、ブレーメン工場では新たな組み立てシステムが導入されたとのことです。

この新たなシステムの要点は、

  • ライン生産方式からセル生産方式へ移行した。
  • 組み立てセル(メルセデスでは「キューブ」と呼ばれる)はネットワーク化されており、柔軟に組み合わせることで複数車種の生産に活用できる。
  • 無人輸送システムが導入された。
  • 新たに採用されたデジタル生産システム(MO360)は、すべての生産エリアで生産データを収集しリアルタイムで追跡活用ができる。また、製造プロセスのデータを活用することでリアルタイム品質管理も可能となっている。

といったところのようです。

事例Ⅲで言えば理想形

この生産システム。事例ⅢのC社であれば、

「社長❗言うことないっすよ❗」

と言いたくなるような、言ってみれば理想形ですね。

ライン生産方式の方が大量生産において効率化が図れることは言うまでもないですが、生産する車種や数量を柔軟に変更する必要が高まってきている現状に応じて最適化するために、セル生産方式を採用しています。

そして、恐らくは、この生産セルである「キューブ」は、IEを駆使して、作業手順も生産設備も、生産性を最大化させるように綿密に設計されているんでしょう。

そして、工場内の輸送に無人輸送システムを採用しています。搬送に作業者の工数が浪費されないというのは、すごい強みになりますね。恐らくは、工場内の5sも徹底されていて、運搬作業は最適化されていて活性示数(モノの移動に関する手間がどれだけ省かれているか。一次試験の「運営管理」の知識です。)も相当に高いのでしょうね。

そして、デジタル生産システムによって、全工程の状況をリアルタイムで共有できるようになっています。生産計画の変更があった場合、瞬時に全セル·全工程にそれが共有されますし、計画に対する進捗や数量の現状をリアルタイムに把握可能です。それだけでなく品質管理情報までリアルタイムで把握できるようになっています。

事例Ⅲでは、生産計画の策定が一部の工程についてのみだったり、策定頻度が低かったり、各工程への周知が不十分だったり、計画策定後の進捗管理がお粗末だったりという事例が多いのですが、メルセデスのシステムは、それらの課題については全て解決してそうですね。

「新たなシステム導入後の同社にとっての課題としてどのようなことが考えられるか。」と問われたら、「稼働開始後に、情報入力の手間や出力された情報のわかりやすさ等、ユーザーである作業員の視点でPDCAサイクルを高速で回していくこと」と解答する感じでしょうか。

トヨタ生産方式ではない?

ところで、今回ご紹介したメルセデスの生産方式ですが、いわゆるトヨタ生産方式ではないですね。

トヨタ生産方式は、その基本的な思想として、後工程引き取り方式です。自工程の後の工程からの需要に応じて、必要な分だけ生産することで、工程間在庫という無駄を徹底的に排除し、生産性を向上させるものです。つまり、生産計画を策定してこれに沿って川上から生産していく「プッシュ式」ではなく、後ろの工程からの注文に即応して生産する「プル式」の生産方式です。

メルセデスの生産方式は、上述のとおり、生産計画を策定して生産していくプッシュ式なので、トヨタ生産方式ではありません。

まあ、これは生産方式のタイプの違いであって、どちらが優れているというものではないと思っています。そして、記事をみる限りでは、生産計画の頻繁な変更があっても対応できる柔軟性と即時性に徹底的にこだわったメルセデスの生産システムは、プッシュ式の極致とも言えるように感じます。

まとめ

以上、今回はメルセデスが新たに導入した生産システムについて、ニュース記事をご紹介しました。

さすがに屈指の大企業ですから、事例Ⅲに出てくるC社のような生産管理上の問題点や課題が見当たらなさそうな、完成度の高いシステムになっていそうですね。

今回は、練習問題の作問と解答例の提示という形ではありませんでしたが、今後も、このように、中小企業診断士二次試験の事例問題のシミュレーションができるような話題についてご紹介していければと思います。(他の二次試験練習問題はコチラをどうぞ。)

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