事例Ⅲのコツが詰まった本を紹介❗(中小企業診断士二次試験対策)

世界に冠たる中小企業❗

モノづくりの真髄❗

いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます😃

中小企業診断士試験の攻略法について、【中小企業診断士試験の攻略法】にまとめていますので、是非そちらもご参照ください。

今回は、中小企業診断士二次試験の事例Ⅲ対策にかなり使えるのではないかと思う書籍をご紹介したいと思います。

(他のお薦め書籍紹介はコチラ

以前、「ザ・ゴール」【お薦め本紹介】にて、事例Ⅲ対策に使えそうな一般書籍があまりないということを申し上げておりましたが、今更ながら、あることがわかりました。(試験前に出会っていれば、確実にフル活用してましたね。)

製造業の好事例の宝庫

今回ご紹介する書籍は、「世界に冠たる中小企業」(講談社 黒崎誠著)です。

本書は、低迷する日本経済の中で多くの中小企業が厳しい経営を迫られている中で、世界レベルで通用しているキラッと光る中小企業もたくさんあるのだということを示している本です。

本書で取り上げられた企業は24社に及びます。全て製造業で、そのまま事例ⅢのC社になってもおかしくないのではないかと思う企業ばかりです。そして、中小企業診断士試験対策の観点から見て、本書を読むことのメリットは、以下の2点です。

製造業のイメージが掴める
普段、製造業と接する機会がない方にとっては、例えば、「熱処理」とか「クロム鍍金加工」とかいった工程があること自体あまり意識することがないかと思います。実際、私も中小企業診断士の試験勉強をするまではこれらの存在自体を知りませんでしたし、切削とか研磨とか組立とかについても、はっきりしたイメージを持てていませんでした。本書は、私同様に製造業との関連が薄い方が製造業のイメージを掴むうえで、かなり有用です。
製造業の勝ちパターンを掴める
本書では、中小製造業が競争優位を獲得し、維持していくための理想形のうちのいくつかのパターンが示されています。これを読むだけでも、製造業の勝ちパターンの一端を垣間見れますし、中小製造業が勝つための方向性をスピーディーに嗅ぎ分けるセンスのようなものも手に入れられます。

詳細は是非本書を読んでいただければと思いますが、登場する企業の多くに共通する特徴のうち、中小企業診断士二次試験の事例Ⅲ対策で参考になりそうなものをいくつかピックアップしてお示しします。

高度な技術力

まずは、極めてシンプルな強みでありながら、だからこそ実際に実現するのは至難と思われる、圧倒的に高度な技術力です。

競合が真似できない切れ味のペンチを製造する技術、金型に超微細な孔を開けることで省エネと加工時間短縮を実現するポーラス電鋳技術、世界的美容師のビダルサスーンに愛用された高機能の美容師用鋏の製造技術、生花のような瑞々しさを保ったまま保存できるプリザーブドフラワー製造技術を一から開発した事例など、業界のナンバーワンではなく、まさにオンリーワンともいえる技術力を誇る企業ばかりです。

本書の企業達は、技術力の向上のために経営資源を集中させ、長期にわたって努力を途切れさせない戦略的な取組によって、こうした高度な技術力を獲得しています。また、多くの企業において、技術を尊ぶ組織風土と、技術を同僚や後輩に伝承していく組織文化、資格取得支援や人事評価上の工夫など、組織人事の面でも一貫して技術力アップに向けた施策を採用していることが印象に残りました。

事例ⅢのC社といえば、技術力には強みがあるというのが定石のようになっていますが、本書に出てくる24社は正にそういった企業ですから、事例ⅢのC社だと思いながら読むことで、かなり本番に近い訓練ができます。

一貫生産体制

次に、一貫生産体制が挙げられます。こちらも事例Ⅲ頻出の強みですが、本書の企業の多くが、切削、研磨、組立といった各工程を内製化しています。

一貫生産体制を構築することは、取引先からみて、複数工程の加工をまとめて発注できるため管理コストがかからず付加価値が高いものですから、競争優位につながります。

そして、加工する企業の側からしても、他工程の加工を見据えた作業による効率化や、全体最適視点で作業することによる機能向上など、単独工程しか担っていない競合他社には模倣困難な優位性の獲得にも繋がっていくのです。

そして、もうひとつの重要なメリットとして、全工程を内製化することで、コアな技術を企業秘密として守ることができるということがあります。本書に登場する企業の多くは、工程の内製化だけでなく、工作機械自体を自社用に完全カスタマイズすることで、ムダな機能を省きつつ、自社技術の模倣困難性を高めることに成功しています。

なるほど、なるほど。技術とはそうやって守るのか、と目からウロコでした😄

高機能→高価格

さて、では、そうした技術力や一貫生産体制を実現している企業が、どうやって確固たる地位を築いているのか。

事例ⅢのC社では、技術力と一貫生産体制が強みである一方、大手取引先の海外移転によって販路が縮小し、いかにして収益拡大を図るかが経営課題になっているケースが多いですよね。

本書に出てくる企業の多くも同じ状況です。そして、本書の企業たちは、高機能な自社製品に絶対の自信をもって、決して安売りはせず、機能面において徹底的に差別化することでしっかりと利益のとれる価格を維持し、その地位を確保しています。

各社の歴史や経緯を見ると、新興国の低価格製品に押されて経営危機に陥ったことのある企業も多くありましたが、技術者を大事にして人員削減は行わず、安売り競争には参加しないという姿勢を貫くことで状況を打破してきています。

そうして得た適正な利益を、既存技術の強化だけでなく、新たな関連技術分野への投資に回して次なる収益の柱を育てることで、時代の変化に対応した強みの維持に努めているのです。

完全受注生産

他の特徴として、本書の企業の多くが、完全受注生産をしています。

考えてみれば自然な話で、超高機能だったり超精密だったりする製品をBtoBで製造販売する事業がほとんどですから、大きな市場に向けて大量の製品を見込生産するタイプのビジネスモデルではありません。

それどころか、業界オンリーワンの技術を有し、「他で作れるところがない」とされた特殊仕様の超高機能特注品の製造を担うケースが大半です。なので、大量生産はそもそも眼中になく、東京スカイツリーやら明石海峡大橋やらといった特殊プロジェクトに絶対必要となる高精度加工部品を、高単価一点もので製造するのです。

そして、品質において高い信頼を醸成しつつ、受注生産における重要ポイントである納期についても、短納期でも対応し納期厳守をする信頼感の高い企業ばかりです。

そのための工夫として、コンピューターを用いた顧客管理や、材料在庫をふんだんに保有しておくことや、大量の工作機械を揃えて加工作業者の機械待ちをなくすといった取組をしていました。

事例Ⅲ的に言うと、大量の在庫とか工作機械を余分に保有するというのは、果たしてどうなんだろう、という感じはしましたが、これも、どんなに高い要求の特注品でも短納期で応じることによる信頼感でオンリーワンになる、という戦略から逆算すれば納得ですね。

ちょっとした違和感

という風に、圧倒的な差別化戦略で成功している24の企業ですが、読んでいて、若干の違和感を感じる要素も正直ありました。

これら企業の高い技術力は、熟練したベテラン従業員の経験と勘によって達成されています。機械では未だ対応できないミクロンレベルのズレの調整は、こうした熟練工の高い技術力とセンスがなければできないということで、これこそがこれらの企業の競争優位の源泉であることが、ことあるごとに強調されています。

しかし、これまではそれで成功していたかも知れませんが、機械加工も測定技術も自動化技術も加速度的に向上していっています。人間の経験と勘が、今後も長期的に優位をもたらすという保証はありません。そうである以上、できる限り、作業の標準化やマニュアル化を進め、さらにこれを進化させてシステム化と自動化を競合や大手に先駆けて行うことで、次世代の競争優位獲得を図っていくべきではないかと思うのです。本書では、そうした取組については特に触れられておらず、読後に少し違和感が残りました。(登場企業ではそうした試みが行われているものの、本書の著者があまりそこを取り上げないタイプだったのかも知れません。)

まとめ

と、いうことで、今回は、事例Ⅲのイメージやセンスを磨くうえでかなり役立つと思われる書籍について、その要点と、優れた企業の強みや取組を事例Ⅲ的視点から解説させていただきました。

まとめると、

  1. 長期的戦略的に経営資源を集中させることで模倣困難な技術力を獲得する
  2. 製品の機能や精度で差別化し、価格競争とは距離をとって、適正な利益と取引上の交渉力を維持する
  3. そこで得た利益や資金余剰で、更なる技術への投資を行い、既存の強みの補強や新たな強みの獲得につなげる
  4. 納期遵守、品質徹底で高い信頼感を醸成し、オンリーワンの企業として競争力を確立する

というのが要諦です。

事例Ⅲに使える書籍は、探せばまだまだありそうですね。

これからも、皆さんに参考にしていただけそうな有用な情報を発信していければと思っています。

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